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鉄骨系ハウスメーカー耐震性能ランキング【2019年】

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こんにちは、現役住宅営業マンのケイです。

地震に強い家にしたい」という想いで、鉄骨系ハウスメーカーを検討している方は大勢おられます。

鉄骨住宅ならどこも地震に強いから同じでしょ?と思いがちですが、鉄骨系でも会社が違えば構造や地震に対する備え方は様々で強さのレベルも異なります。

しかし、どのメーカーの営業マンも「当社が一番強いです!」と自信満々なので、違いをちゃんと理解するのは正直難しいと思います。

これから襲いくる大地震にも安心して暮らせるよう、各鉄骨メーカーの構造の特徴、記事の最後には耐震性能ランキングをご紹介します!

  

CHECK POINT

鉄骨系ハウスメーカーの構造の違いは?

耐震性能に優れている鉄骨系ハウスメーカーは?

 

 

鉄骨系の大手ハウスメーカー

大手ハウスメーカーで主に鉄骨造を扱うのは、積水ハウスダイワハウスへーベルハウス旭化成ホームズ)・セキスイハイムパナソニックホームズ・トヨタホームの6社です。

まずは順に構造の特徴や耐震性能をご紹介します。

 

積水ハウスの耐震性能

積水ハウスの構造は、柱・梁・筋交い(ブレース)からなる『鉄骨軸組工法』です。

筋交いには鉄骨ブレースを使用し、地震の揺れに対して引張力と圧縮力が作用し、エネルギーを吸収して建物の倒壊を防ぐ役割を担っています。

この鉄骨ブレースは、震度5程度の地震には繰り返し効果を発揮しますが、震度6以上の大地震になると引張る力の許容範囲を超え、ブレースが伸び切ってしまうことがあります。(スリップ現象といいます)

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そうなると次に襲い来る余震に対しては同じように機能せず、建物の揺れを抑えることができないため、多額の修理費用が発生する恐れがあります。

そこで積水ハウスでは、『シーカス』というオリジナル制振構造を採用して、ブレースに掛かる負荷を低減するようにしています。

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シーカスの導入により、建物の変形量を1/2に抑えることができますが、ブレース構造はもともとの建物の変形量が大きいため、1/2に減ったといえど変形することに変わりはありません。

ブレース自体にも多少のダメージは加わることはありますが、致命的な損傷には至らないのではないでしょうか。

 

ダイワハウスの耐震性能

ダイワハウスは商品によって基本構造が異なります。

普及商品である『xevoE(ジーヴォイー)』はブレース構造のため、繰り返す地震に対して耐力が徐々に減少し、災害後の補修費用が大きく掛かってしまう可能性のある構造です。

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E-ディフェンスにて、巨大地震を含む85回もの繰り返す耐震実験をクリアしていますが、公表されている実験結果によると、実験に使用された建物は必要以上に補強されていたことが確認されています。
したがって実際に建築する住宅は、実験と同等の耐震性能が期待できず、少ないダメージで済むかどうかは疑問符が残ります。

 

最上級商品である『xevoΣ(ジーヴォシグマ)』はブレース構造の一種で、エネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」を搭載しています。

この耐力壁は地震による強い揺れを受けると、Σ型デバイスが上下左右へとしなやかに動き、地震エネルギーをうまく吸収して、建物の損傷を抑える役割があります。

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さらに実大振動実験をでは、繰り返す地震を想定して震度7クラスの揺れを同じ建物に連続4回繰り返し加振しましたが、新築時の初期性能を維持していたと発表しています。

ただし建物の変形量や詳しい実験結果などの公表が全くなく、耐震性能としては安心できるレベルかどうかは正確には判断が難しいところです。

 

ヘーベルハウスの耐震性能

へーベルハウスは構造面において高く評価されているメーカーで、2階建てまでは軽量鉄骨造、3階建て以上は重量鉄骨造を採用しています。

基本構造は柱と梁、耐力壁で構成されており、耐力壁にはハイパワードクロスと呼ばれる『制震デバイスを搭載した制震構造となります。

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この制震デバイスには、極低降伏点鋼(ごくていこうふくてんこう)という粘り強さと変形能力を兼ね備えた特殊な鋼材が使用され、くねくねと曲がりながら地震エネルギーを吸収するよう計算されています。

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サーモグラフィーでは中心部で熱が発生しており、効率的にエネルギーを吸収しているのが確認できます。 

 

実大振動実験は2002年に行われており、阪神淡路大震災の1.5倍の地震波などで繰り返し加振した結果、構造体には大きな損傷は見られなかったと発表しています。

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ただし加振回数や建物の変形量、詳しい実験結果などは全て非公開で、過去の震災を上回るような実験も行っていない模様。
住宅展示場の演出等により、へーベルハウス地震に強いイメージを持たれている方が多いですが、その強さの根拠が欠落していて不透明な部分が多いのは気になります。

 

セキスイハイムの耐震性能

セキスイハイムはボックスラーメン構造を採用しており、柱と梁を剛接合した強靭なボックスユニットを組み合わせて成り立つ構造体です。

その強さをアピールするため、工場見学会ではボックスを高さ5mから落下させる演出は業界でも有名な話。

ちなみにラーメンの由来はドイツ語で額縁を意味し、中高層マンションでよく採用される構造形式でもあります。

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ボックスラーメン構造の特徴は、外力に対してボックス自体がしなるように変形して粘り強く耐え、地震後も構造体が元に戻ることで被害を最小限に抑えることができることです。

震度5くらいまでの中地震に対しては、まず『高性能耐力外壁』が抵抗することで建物の揺れを抑えて、震度6以上の大地震で初めて、ボックスユニットが変形することでエネルギーを逃がし倒壊を防ぎます。

このとき建物の揺れが大きくなることをあらかじめ想定し、外壁に割れが生じないよう外壁パネルが外れる設計になっています。

実際に実大実験では、外壁パネルが外れたり窓サッシが割れてしまっていますが、ボックスユニット自体には大きな影響はありません。

セキスイハイムは、構造体に修理が必要となるような損傷はかなりでにくいと思われます。

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ただし建物の揺れ幅は抑えることができないため、内装仕上げ材や窓サッシ、外壁などの修理費用の負担は大きくなるかもしれません。

 

パナソニックホームズの耐震性能

パナソニックホームズの構造は、『制震鉄骨軸組構造』と『大型パネル構造』に大別されてます。

主力商品の制震鉄骨軸組構造(HS構法)は、柱・梁・耐力壁で構成され、耐力壁「アタックダンパー」は高層ビル建築で採用されている座屈拘束という制震技術を住宅用に応用しています。

 

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一般的なブレース構造では、引張り力を受けたときのみ耐力を発揮し、圧縮力に対しては耐力を発揮できません。

ブレースは大地震を受けて一度伸びきってしまうと、繰り返す地震に対して効果を発揮できず、建物が大きな損傷を受ける恐れがあります。

それに対してアタックダンパーは、引張り力はもちろん圧縮力にも耐力を発揮し、大きな地震のあとも安定した耐力を保持することが可能。

さらに斜材プレートには低降伏点鋼を使用しているため、繰り返す地震にも耐えうる強さを持っています。

実験値では、東日本大震災の築館波の1.2倍に相当する変形試験を180回繰り返しても、ほとんど性能が変わらないといいます。

 

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実大振動実験は、さまざまな地震波で140回繰り返し加振を行い、最大で阪神淡路大震災の4.3倍という超巨大波を与えても構造体には交換を必要とするような損傷は見られないとの結果です。

ボックスラーメン構造のように変形しながらエネルギーを逃す方法に対し、パナソニックホームズは座屈拘束技術で変形を抑え、建物の歪みを極力少なくして補修費用が最小限になるよう考えられています。

 

トヨタホームの耐震性能

トヨタホームは、セキスイハイムと同様の鉄骨ラーメン構造を採用。 

太い柱と強い梁をさらに強固に接合した強靭な構造体『パワースケルトン』によって、地震の力を吸収するという考え方です。

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セキスイハイムと同じようにユニットが変形することで地震の力を逃し、構造体は元に戻るようになっていますが、外壁は外れる設計ではなくエネルギーを負担する役割も担っており、割れや亀裂など損傷の可能性は考えられます。

実大実験では震度6以上の大地震を17回、計90回の加振を行っており、構造体の損傷は一切なかったと発表しています。

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一部外装材の目地のガスケットが外れていた程度で、内外装とも軽微な損傷では済んでいるのは安心できるポイントです。

 

耐震性能ランキングベスト3

日々ハウスメーカーの情報収集を行っている私が、鉄骨系ハウスメーカーの耐震性能ランキング上位3位を選んでみました。

※あくまで一個人の意見ですので予めご了承ください。

 

第3位 トヨタホーム

トヨタホームは鉄骨ラーメン構造で、主要構造体であるボックスユニットが地震エネルギーをうまく吸収し、建物が倒壊しないことはもちろん、傾いたりすることも考えにくいです。

実大実験でもほとんど損傷がなく、外壁パネルの継ぎ目のガスケットが外れたり、内装クロスの切れ程度の軽微なものです。

セキスイハイムと似ている構造ではありますが、実験映像をそれぞれ比較するとトヨタホームのほうが建物自体の揺れは小さく、高い耐震性能を有すると感じたため3位に選びました。

【トヨタホーム】耐震実験動画 - YouTube

 

第2位 積水ハウス

積水ハウスは制震システム「シーカス」の導入により、ブレースへ掛かる負荷を大きく低減させることで、地震後の補修費用を抑えることができるようになりました。

阪神淡路大震災の1.7倍のエネルギー加振で、建物の変位差(1階床と2階床の変位)は24mmと小さく、カタログ上にもしっかり数値が明記されていることも安心ですね。

実大実験でも建物の変形が少なく、損傷においても軽微である様子が確認できます。

【積水ハウス】耐震実験動画 - YouTube

 

第1位 パナソニックホームズ

第1位はパナソニックホームズの制震鉄骨軸組構造を選びました。

高層ビル建築の座屈拘束技術を住宅で初めて採用し、繰り返しの大地震に対してもほとんど耐力を低下させることなく耐え続けられます。

阪神淡路大震災の2倍のエネルギー加振でも、変位差は18mmとさらに小さく建物の歪みを抑えることに成功しています。

また実大実験では、国内の実験施設の最大出力である阪神淡路大震災の4.3倍の巨大地震に耐えたのはパナソニックホームズだけです。

以上の理由から1位に選ばせていただきました。

【パナソニックホームズ】耐震実験動画- YouTube