新築一戸建ての「天井高」は高いほうが本当に良いの?
現役住宅営業マンのケイです。
近年ハウスメーカー業界では、天井高を高くするような提案が増えています。
中には3.7mものかなり高い天井高を実現することができるハウスメーカーもあります。
天井が高くなると、頭上の空間に広がりが生まれるため、部屋を広く感じさせる効果があります。
しかし天井を高くすることはメリットばかりではなく、あまり知られていないデメリットも存在するのです。
本記事では、一戸建ての天井高について解説していきたいと思います!
天井高を上げるメリット
天井高さを上げるメリットは大きく以下の2点です。
天井高を上げるデメリット
天井高さを上げるとメリットだけでなくデメリットもあります。
大きく以下の4点です。
空調のコストが上がる
天井高を上げることで部屋の体積が5〜10%ほど増えることが考えられます。
体積が増えたぶん熱効率が悪くなり、冷暖房コスト(電気代)がアップしてしまいます。
何十年と長い年月で考えると大きな差となるため、日頃から光熱費が気になる方はむやみに天井高を上げるのはやめておいた方が良いでしょう。
材料のコストが上がる
天井が高くなったぶん、壁のボードやクロスや外壁材など、材料が余分に必要となりコスト面も高くなってしまいます。
材料の寸法が規格外となってしまうこともあり、そのために継ぎ足しをして材料のロスも出て割高になります。
また天井が上がることで建物の重心も上にあがってしまうため構造体にも負担がかかります。
それを補うために耐力壁を増やさないといけず、見えない部分にもお金が余分に掛かってしまいます。
インテリアに悪影響
住宅用の窓サッシは、現在高さ2m50cmほどが限界となっているようです。
そのため2m70cmの天井であれば窓の天端と天井の間に20cmほどの垂れ壁が出てしまいます。
ヒトによって感じ方はそれぞれかと思いますが、垂れ壁が暗がりになってしまいせっかくの天井高が活かされていないようにも感じます。
そこで木目の下がり天井などを加えてサッシ高さと天井を揃える提案がされているようですが、これもコストとしてはかなり掛かってしまいます。
それであれば最初から窓とサッシの高さを合わせたほうがきれいなのでは?と思うのは私だけでしょうか。
(出典:積水ハウスHP)
低い天井が落ち着く国民性
日本人は古来から低い天井で暮らしてきたため、本能的には実は低い天井のほうが落ち着くといわれています。
あなたも子どもの頃に押入れなど狭い空間に入ると落ち着いた、というような経験はありませんでしょうか?
ちなみに私は子どものときに押入れの中で昼寝したりしてあの閉鎖感が落ち着いて好きでした。
天井が高いとどこか落ち着かずソワソワしてしまうので、個人的には天井は高すぎないほうが好みです。
ちなみに世界的に有名な建築家「ル・コルビュジェ」は、人体寸法をもとに建物の基本寸法を考え、ヒトが手を挙げた高さ226cmの天井高さが最も美しい高さであると説いています。
天井高を上げずに開放感を得る方法
天井が高くなるほど開放感は増しますが、余分にコストが掛かったりアンバランスな垂れ壁がでてきてしまうとお伝えしました。
見た目やコストのことも考えて、天井高をできるだけ上げずに開放感を得たい!という場合は、サッシの高さを天井面に合わせることも有効的です。
(出典:パナソニックホームズHP)
こちらは一例で天井高は2m50cm程度ですが、天井面まで窓サッシを上げることで垂れ壁が一切つかず、天井と窓の一体感が生まれ非常に開放的な空間となっているかと思います。
開放感を得るためには、天井高だけではなく窓の大きさや取り方など様々な工夫でカバーができるのです。