坪単価の「4つのからくり」とは?見かけの安さに騙されるな!
新築一戸建てを考える上で必ず耳にする『坪単価』という言葉。
よく住宅展示場に来られるお客様でも「おたくの坪単価はいくら?」と質問される方は非常に多いです。
確かに坪単価を聞くことによって、その会社の家がある程度どのくらいの価格帯であるか判断することは出来ます。
ただし坪単価にはいくつかのからくりが存在し、あまりにも鵜呑みにし過ぎると後々後悔してしまう可能性もあります。
その「からくり」を知って、坪単価のみで判断するということのないようにしましょう。
坪単価とは?
そもそも坪単価とは一体何なのか?簡単に説明します。
まず「1坪」というのは、「約3.3057㎡」です。
建物の面積 ◯ ◯ ㎡に0.3025を掛けると坪数が出てきます。
(例)100㎡ × 0.3025 =30.25坪
逆に坪数を0.3025で割ると、㎡になります。
(例)1坪 ÷ 0.3025 =3.3057㎡
ちなみに畳が2枚で1坪になります。
不動産業者や住宅会社なら誰でも知っている計算方法ですが、あなたが知らなくても特に困ることはありません。
そして、坪単価は一般的に建物本体価格を建物の面積で割った単価です。
例えば、坪単価50万円の家が40坪の場合。
50万円 × 40坪 = 2000万円(建物本体価格)
となります。
また、本体価格から坪単価を算出することもできますね。
建物本体価格 2000万円 ÷ 40坪 = 50万円(坪単価)
さて、本題の坪単価のからくりについて触れていきたいと思います。
坪単価のからくり ①
坪単価の算出方法が『床面積』なのか『施工面積』なのか。
一般的に建築基準法で使用する面積は『床面積』といい、バルコニーや玄関ポーチなどを除いた面積になります。
2階建てであれば、1階床面積と2階床面積を足したものが延べ床面積といいます。
それに対して、『施工面積(施工床面積ともいう)』というのは、バルコニーや玄関ポーチや吹き抜けなどの面積も含みます。
例えば、延床面積30坪の家に2畳のバルコニー、4.5畳の吹き抜け、玄関ポーチの面積を足した施工面積に置き換えた場合、約4坪ほど広くなり34坪となります。
これが何を意味するかは下記の計算式をご覧ください。
(建物本体価格2000万円の場合)
【床面積】 2000万円 ÷ 30坪 = 66.6万円(坪単価)
【施工面積】 2000万円 ÷ 34坪 = 58.8万円(坪単価)
このように床面積より、施工面積で坪単価を算出するほうがはるかに坪単価が安く見えます。
世の中には坪単価40万円〜などローコストを売りにする住宅会社もたくさんありますが、この場合施工面積で坪単価を算出していることが多く、見かけの坪単価を安く見せて興味を惹く販売手法があります。
契約後にオプション等でどんどん価格があがり、気づけばワンランク上の住宅と坪単価がほとんど変わらなかったということにもなりかねませんので、坪単価を何で算出しているかはよくチェックすることをオススメします。
坪単価のからくり ②
建物の形状で建物本体価格は大きく変わります。
下の図をご覧ください。
両方とも同じ36㎡の家ですが、外周の長さが右の家の方が長くなっています。
外周が長いということは、外壁の面積が増えたり、様々な材料も余分にかかるので当然価格も高くなります。
真四角の家が一番コストパフォーマンスが高く、同じ面積でも建物が凸凹するにつれて割高になる傾向があります。
坪単価を算出している家がどんな形をしているかということもチェックすることが重要なポイントになります。
真四角に近い家で坪単価を安く見せていれば、間取りや建物の形が変わると一気に金額が増える可能性があるので注意が必要です。
坪単価のからくり③
『建物本体』には何が含まれているかをよく確認しましょう。
住宅会社ごとに建物本体に何が含まれているかはそれぞれ異なります。
会社によっては、坪単価を安く見せるために一般的に本体価格に入っていることが多いバルコニーや網戸がオプション仕様になっていたり、水廻りなどの設備グレードが標準仕様ではかなり低いもので設定されていたりもします。
逆に大手メーカーであれば、太陽光発電システムや家庭用燃料電池などの設備が標準で装備されていたり、キッチンなどの水廻りの設備が標準でも豪華な仕様に設定されていることもあります。
工事現場で掛かる仮設費や様々な経費も建物本体に含まれている会社もあれば、別の項目で計上している会社もあり本当にバラバラです。
坪単価が安い家であればあるほど、建物本体には一体何が含まれているか?どのようなグレードの設備仕様になっているのか?を詳しく営業担当者に確認し、あとからどんどん費用が増えないようにこちらも十分注意しましょう。
坪単価のからくり④
坪単価は建物の面積でも大きく変わります。
例えば、坪単価50万円の家が50坪の広さであれば建物本体価格は2500万円になります。
これが半分の大きさの25坪であれば半額の1250万円になるかというとほとんどの場合そうではありません。
なぜかというと、キッチンや浴室、洗面台などの設備は建物が半分の大きさになったからと言って金額は変わりませんし、職人さんの人件費も半額になるわけでは決してありません。
そのため建物が大きくなればなるほど坪単価自体は安くなりますし、建物が小さくなればなるほど坪単価は高く見えるようになります。
あなたが希望する建物の大きさがすでに分かっていれば、ある程度の坪単価は聞くことができるかもしれませんね。
まとめ
住宅展示場で営業マンに坪単価を質問すると、『だいたい60万円から70万円です』とかなり幅のある回答をされることがあります。
坪単価60万円と70万円であれば大きく金額に違いがありますが、これはあなたが希望している建物の大きさやグレード、採用したい設備機器の有無などで異なりはっきりしないため、仕方のない回答ではあります。
坪単価は安ければ安いほど手が届きやすく魅力的に感じてしまいますが、冷静に何が含まれていて何が含まれていないかの中身をチェックし、あなたに本当にあった住宅選びをして欲しいと思います。